またロシアレンズを買ってしまいました。
このレンズの歴史はZENIT公式サイトに詳しく書かれています。要約するとこんな感じです。
コンタックス用のカール・ツァイス・ゾナー5cm F2は、1930年代初頭にルートヴィヒ・ベルテレによって設計されました。第二次世界大戦後、ソ連は、多くのドイツ製レンズに関する資料、ならびにそれらの製造に必要な技術、材料、設備を賠償として受け取りました。クラスノゴルスク機械工場(KMZ)での製造開始当初、このレンズは「ZK」(クラスノゴルスク・ゾナー)という名称で販売されていました。このレンズは、色収差、球面収差、像面湾曲を大幅に排除するように設計されています。
コンタックスマウントのZK2/50 (後に Jupiter-8 と命名) の生産は、1947 年にキエフ兵器廠工場でKievがリリースされたときに始まりました。
L39マウントのKMZ製のJupiter-8は、ZorkiとLeningrad用のレンズとして供給されました。
焦点距離:52.49mm
絞り羽根枚数:9枚
最短撮影距離:1m
サイズ:φ49x45mm
質量:130g
開発年(Sonnar 5cm F2):1930~1932年
ドイツオリジナル設計:ルートヴィヒ・ベルテレ
再設計:M.D. マルツェフ
レンズ構成図を見るとSonnar 5cm F2とJupiter-8はレンズのRや肉厚が明らかに違うところがあり完全なコピーではないことは明確です。
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Sonnar 5cm F2 |
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Jupiter-8 |
1950年代から1990年頃まで長きに渡って生産されたレンズでバリエーションがあります。大きく分けるとシルバー鏡筒で無限遠ロックのある前期型、シルバー鏡筒で無限遠ロックがない中期型、ブラック鏡筒の後期型です。それ以外にもレンズ銘板の表記(1:2 F=5CM or 2/50、コーティングという意味を示すПの有無)が異なるなど何種類かバリエーションがあります。私が購入したのは1961年製の中期型です。
ロシアレンズはネットの方がタマ数が多いのでネットで購入することが多いのですが今回は実店舗で購入しました。古さ故のコンディションもありますがビルドクオリティが低さが特徴ということもあるので買う前に実物が見られるというのは安心感があります。 L39マウントの相場は2万円前後、安い品物はほとんどがコンタックスマウントです。
入手したレンズはフォーカスリングのグリスが抜け気味、レンズ内はカビクモリなし、ロシアレンズにはよくある拭きキズはほとんどなしというコンディションでした。
鏡筒はアルミ製で非常に軽量です。見た目もスペックもそっくりながら真鍮で作られたNikkor H・C 5cm F2のずっしり感とは全く異なります。絞りはクリックなしの不等ピッチです。先端かつ径が細いのでフードを付けると操作が非常にやりにくくなります。
絞り開放ではコントラスト低めで柔らかな描写です。絞るとシャープになってきますが解像感は大きく改善しません。周辺に行くとピント位置を見極めるのが困難なくらい流れています。HELIOS-44のような中心以外は使えない!位極端ではないもののはっきりと認識できます。
一方でフレアや色付きは目立ちません。後ボケは輪郭が残ってて硬め、前ボケの方がどちらかと言うと綺麗で若干二線ボケ傾向がみられるもの自然なボケ味になっています。発色は地味ながらトーンがしっかりと出てます。古いレンズなので当然ですが逆光でゴーストが出やすくオールドレンズらしい描写になります。