このブログを検索

2022年6月6日月曜日

Nikkor-H Auto 50mm F2を使ってみました

 近くのカメラのキタムラにふらっと立ち寄った時にNikkor-H Auto 50mm F2の中古が\2,980で売られていました。「安いなぁ」と思いましたが個人的に寄れないレンズ(このレンズの最短撮影距離は60cm)は使わなくなる傾向が多いことが分かっているので購入には至りませんでした。

”Nikkor-H Auto 50mm F2”で検索するとにニッコール千夜一夜物語の第二夜の記事が出てきてレンズ構成図が紹介されています。発売は1964年なので半世紀以上前のレンズということになります。

見ての通りほぼ対称と言える4群6枚のダブルガウス型です。標準レンズの多くは変形ガウス型と言われる撮像面側に凹レンズを追加した5群7枚構成であったり、レンズ貼合わせ面を分割していたりと対称とは言い難いレンズ構成であることがほとんどです。これは俄然興味が出てきました。どんな写りをするか試してみたい。

で、実は今Nikkor-H Auto 50mm F2が手元にあります。

値段の安さに負けて買ってしまったわけではありません。家の防湿庫の中にありました。店で購入した記憶がないので大量にレンズを譲ってもらった時に一緒についてきたレンズでしょう。自分の持っているレンズを把握できていないのです。完全にボケてますね

Nikkor-H Auto 50mm F2をZ6につけて撮ってみました。なお、Nikkor-AutoはFTZ非対応ということになっていますが、一応このレンズは装着可能でした。個体差があるようなので自己責任でお願いします。

普及版として開発されたレンズですが、金属が多用されていてビルドクオリティは非常に高いです。モノコートレンズの反射が綺麗な青色で今となっては個性を主張しているように感じます。最短撮影距離は60cmということになっていますが指標を見ると60cmの少し先、55cmくらいまで繰り出せる構造になっています。とはいえ寄れないことに変わりはありません。

絞り開放ではピントがあったところもフレアが取り囲んでいて独特の雰囲気があります。

全体的にフレアっぽいですが、軸上色収差や倍率色収差は少ないです。コントラストはかなり高めで色階調を落としたかのような色再現でレタッチしてもシャドウやハイライトのトーンが出てきません。発色はかなり渋めでモノクロ時代のレンズですが色の偏りは少ないです。周辺光量低下は少なく目立ちません。

後継のAi50mmF1.8sもハイコントラストですがそれに匹敵するコントラストの高さです。人によっては扱いにくさを感じるかもしれません。

そんなハイコントラストを生かしてモノクロで現像するというのもしっくりくる気がします。

F2.8まで絞るだけでフレアが大幅に減ってコントラストが高い力強い描写になります。ボケは自然ですが絞ると6枚羽根の絞りの形が出てしまいボケの形がうるさくなってきます。


このレンズの個性は絞り開放のフレアだと思います。少し絞るとフレアがなくなり実用レンズになります。オールドレンズにしては優秀過ぎてつまらないかもしれませんね。


手軽にオールドレンズテイストを味わいたいのであれば良い選択だと思います。個人的には寄れないレンズは使わなくなる傾向にあるので時々使ってやらないとまた存在自体を忘れてしまうかもしれません。





0 件のコメント:

コメントを投稿