ファーストインプレッションは、以前のブログを参考にしてください。
フォーカスリングの回転角は公称320°で、緻密なピント合わせには便利ですが、速写性には劣ります。このレンズの性格を考えると前者を優先すべきかと思いますのでコンセプトには合っているでしょう。フォーカスリングの動きは滑らかで無限遠から最短までムラのない重さです。
絞りは開放F0.95からF16まで設定できます。クリックがない上にしかも不等ピッチなので今設定している絞り値がわかりません。開放側のピッチが広くて最小絞り側のピッチが狭いです。その為、開放から半分くらい回したつもりでも指標はF4を指しています。開放付近を使ってほしいという狙いがあるような気もしますが絞り操作は慣れを要します。
絞りは円形絞りを謳ってませんが、絞り羽根が11枚もありますのでボケの形状は円形に近い形になっています。
なお、フォーカスリングや絞りリングの回転方向はニコン純正とは逆です。
フードは花形で内部は植毛がしっかりと行われていて効果は高そうに見えますがロックが弱いため不用意に回ってしまう可能性があります。着脱がスムーズではなく金属製の鏡筒にフードが無理に入っている印象です。実際フードが削れて紙縒りのようなものが発生していましたので耐久性は低いと思われます。正位置で止まった時のクリック感は中古で入手した時からありませんでしたが削れてしまったものと思われます。因みにフードは逆付けできますが、止まらずに360°回転します。フードは全般的に使い勝手が悪いです。
描写については、開放F0.95は柔らかい描写で全体的にハロとコマフレアの影響でコントラスト低くハイライトには色付きが目立ちます。F0.95なのでピントが合う範囲が狭くて非常にシビアですが、ハロの影響でピントの合っている位置が曖昧なので実写をみると思ったよりラフでも平気かなと思いました。この柔らかい印象は絞りF2.8まで残っています。
後ボケは輪郭の縁取りと色付きが見られます。また、若干ぐるぐるボケの傾向がありますが目立つほどではないためでこれを生かすのは難しいと思います。ちなみにぐるぐるボケの原因となる非点収差は絞っても改善されない収差です。
F0.95ならではの特長としては背景をボカして整理することが可能なことでしょうか。必要以上にボケますのでF値の設定は慎重に行う必要があります。
柔らかい描写が特徴の現代的設計のオールドレンズです。このレンズをF1.4やF2まで絞っても高性能が特徴の昨今のレンズの絞り開放の描写レベルには到達しません。実用レンズとして使うのはちょっと無理で開放F0.95~F2.8位までの柔らかい描写を楽しむのが正しい使い方だと思います。
50mmF0.95が実売9万円以下で買えるというのは破格ですが、9万円という価格は一般人からしてみれば十分高価です。中古では5万円台が多く大手中古カメラサイトだと複数在庫がありタマ数は意外と豊富なようです。このくらいの価格であればコスパの高い大口径標準レンズとしてお勧めできると思います。
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