手にするとずっしりとしたガラスの塊感があり見た目以上に重いです。全長が短い設計になっているおかげで取り回しは良好です。
外観仕上げはブラックアルマイト、絞りとフォーカスリングは指掛かりが良くなるようにローレット加工が施されていています。
絞りリングとフォーカスリングの回転方向は純正と同じで使いやすいです。絞りはカメラ側からはコントロール不可で実絞りAE、またはマニュアルのみです。1/3段ずつのクリックストップのある絞りリングは適度なメリハリと回転トルクがあって使いやすいです。フォーカスリング回転角度は約180°です。
絞り開放では滲みがありながらピントの芯があって高コントラストでメリハリがある描写です。同クラスのフレアに満たされた甘い写りを知っている人ならば一目見ただけで一皮むけた写りに気が付くでしょう。この違いはピント合わせをする時にもはっきりと実感できます。絞っていくとに滲みは取れていきF2ではかなりシャープになります。ボケは前ボケ後ボケ共に滑らかです。
以前の記事で特許明細書にある収差のグラフから軸上色収差と非点収差が多いと書きました。桜の花びらに軸上色収差が目立ちやすいシーンですがほとんどわかりません。(下の写真の絞りはF1.3です。)
非点収差によるぐるぐるボケの傾向は複雑な背景に目立ちやすい傾向があります。と言っても出すのが難しい位なので気にする必要はありません。大口径レンズ故口径食が大きいのは仕方ないですね。
色再現は大人しめです。柔らかい写りと相まってポートレートに向いてます。なんて書いておきながらポートレートの作例を出さなくてごめんね。
逆光は最近のレンズにしては弱い方です。フードも浅いので効果は期待できません。
むしろ7群9枚という比較的少ないレンズでここまで性能の良いレンズが作れるのが不思議です。Z 50mm f/1.4やZ 40mm f/2のような非S-Line単焦点の写りが好みの人であればこのレンズの写りの良さも分かると思います。
AFがなく実絞り優先AEのみでもないと機能上の制約が多い上、Zマウント版はレンズ補正機能に非対応なことでAdobe Lightroom Classicのレンズプロファイルデータもありません。EマウントかRFマウントならレンズ補正機能に対応しています。
価格は20万円近くするものの実用的な写りの大口径レンズとしては安価です。
Z 50mm f/1.2SとSPEEDMASTER 50mm F0.95IIIを使用したことがある経験から言わせてもらうと、大きさと重さを許容できるのであればあと数万円出せばAFと圧倒的高性能が手に入るZ 50mm f/1.2Sを買うべきです。SPEEDMASTER 50mm F0.95IIIと比較すると機能面は僅差で決め手は開放の盛大なフレアが発生する癖玉が好きかどうかになると思います。
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